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【 14-1 】

掲載日 2023-06-22

先日、14-1にはバカン、バカンと割って取るアメリカンスタイルと、少しずつ削って取っていくヨーロッパ(ヨーロピアン)スタイルがある、という話を聞きました。
14-1を50年以上撞いている私も初めて知ったことですが、それはただ単にプレイスタイルに名前を付けただけのことだったのだろうと思っています。
皆歴史は詳しくない、言った者勝ちですからネ。14-1にはヨーロッパもアメリカンもないですよ。


私(Lucky)の師匠は後藤章二氏(ゴトッチ)です。
ゴトッチから14-1の手ほどきなどは受けていませんが、よく彼に聞いたものです。
どうして?どうして?どうして?どうして?…
毎日のように集金されて…
でも答えは「企業秘密。教えるわけネェーダロ!バカ!」。
教えてくれたのは、『練習はうそつかない』だけでした、オイラはインディアンじゃねえよ!!


彼の師匠筋にあたるのは角当プロだったと思います。
ゴトッチは14-1はおそらく勝ったことないんじゃないかな… ポチョン、ポチョン、と1つずつ取っていくおそろしい球だったそうで、カウントする声が小さいとよく叱られたそうです。
ゴトッチに声が小さい、なんて…すごい話だよね。
私自身は角当さんとは直接何もなくて…、パンチの丸顔の気のいいおっちゃんでした。角当さんといえば笑顔しか覚えていないぐらい。
逆にゴトッチは赤鬼のように怖かったネ。特に後楽園の帰りは怖かった…。


さて、角当プロの師は誰だったのでしょうか?
直接の師は私は存じませんが、プレースタイルを追うと見えてくるような気がしますね。

その当時、1970年代はアメリカから毎年全日本にプレーヤーを招待していました。きっとその中の上手なプレイヤーを見て、感じて、盗み取ったものだと思います。
本場アメリカでは14-1の歴史は長くて、色々と確立されたスタイルもあったのでしょう。そして来日したアメリカの名プレイヤー達のお手本は、おそらくWillie Mosconiのプレイだったことは疑いのないところ。40年、50年、60年代に無敵のWillieのスタイルに強く影響されていた時代なのです。

Willieは7歳の時から子供のくせにエキシビションで小金を貰うようになりました。1920年頃のお話です。お父さんが経営していたビリヤード場で昼間に遊ぶようになり、才能もあったのでしょう、あっという間に上手になったようです。

1913年生まれのWillieの全盛期は1940〜70年だったと思います。
私より小柄な彼のプレイスタイルは、パワーではなくてパズルを解きほぐすようなスタイル。それは昔からアメリカで大流行していたBar Tableで培われたものです。
8フィートのBar Tableは9フィートの台よりポケットがひと回り大きいのですが、レール際に団子になると取り切りが出来なくなります。ましてや手球があちこち走り回るとキスしてスクラッチすることも多い。
ラックから2〜3個をはがして崩して取っていく…というのはWillieが完成したBar Tableスタイルなのです。

Willieから影響を受けたプレイヤー達は東海岸にとても多く、300点前後の記録を出した人も何人かいたようです。ボルシスやジムレンピなど。
その中でも私はRay Martinが一番わかりやすいなと思う。


“名手”を名乗るのは200点から、とは私もScruggsのところで教わりました。
当時の日本では100点もなかなか耳にしなかったので、比較にもなりませんでした。
Timの工房にあったプールテーブルの横には記録を作った名手達の名前と数がズラッとあり、とんでもなくビックリしたことを覚えています。




話は大きく飛びますが、1996、7年のことだったと思うけど、NYのAmsterdam BilliardsだったかChelsea Billiardsだったかで、ハウスプロをしていたT. Roblesのハイランがやはり250点程でした。
でも彼のプレーを見たらWillieとは違っていて、キャプテンホークやストリックランド等と同じドカンと割るスタイル。これは9フィート台の9ボールプレイヤースタイルです。手球がよく動く。

Mr.400と言われるシュミットやヨーロッパのプレーヤー達もほとんど皆がドカンと割るスタイルです。
私にとっては見ていてもさっぱり美しくなく、その上取るのも遅い…。あっち行ってみて…、こっち見てみて…、うーん…と考えてストップショット。頭の中が読めなくてつまらないし、しっちゃかめっちゃかで見ていて疲れてしまう…。

14-1ゲームでは、あ〜…ここはどうするのかなぁ…、あ、そうか…、というような周囲と時間を共有できるのが愉しいところであり、興味も尽きません。これが上手なプロである証です。
そういう点では、今よく見るプレイヤーの中で昔の雰囲気を出しているのはコーリーデュエルくらいかな…と思う。


ところで、14-1では手球がラックにピタッとなってしまうショットがよく起きますね(ノーショット)。特にドカンドカンと割るスタイルではなぜか多いです。
先日の全日本の14-1の試合前練習を見てもそう感じましたね。クッツク!!
ここではどうしてそうなるのかを考えてみようと思います。

Willieの時代と現代を比べると、ボールもラシャもクッションも昔より大変良くなっている、私はそう思います。
では、キューについて見てみましょう。
昔は後ろバランスの重いものが多かったが、今は前バランスの軽いものが主流だね。
シャフトは昔は太くてしっかりしていて、今は大変細身でシュートしやすいものが好まれる。
キューは昔はよく乾燥された木工品で、今は軽金属やカーボン樹脂などが入っているしならないものになった。
タップはもう一番違うね、昔は牛皮の単層で接触時間が長かったが、今は99%が豚皮になり、スピードは出るけどスピンの持続力がない。一見すると手球にスピードは出るけど、パワーがまるでない。球に重みがないの。

道具の違いだけでもこのように明らかに変わっていますね。

そしてプレイスタイルは割れないものだからフルショットばかりする。
思ったところに当たりにくいからラックの真ん中を狙う。
また球離れの早い道具を使うのでプレーヤーの方もグリップの使い方やストロークの理解などが不足してしまう。

整理するとこのようなことではないかと思います。


14-1というゲームは、9ボールが流行する前の時代に全米がどっぷりと浸かったゲーム。ルールが作られたのは1902年となっていますが、最初の大きな大会は1910年とエンサイクロペディアの著者であるVictorから教わりました。
ビリヤードが流行った1940、50年はまさにその時代で、Willieがちょうど脂ののった時代でもあったわけです。
その彼とBar Tableの難しさがちょうどコラボして生まれたのが少し壊してはまた取って…また崩して…という積み木崩しのようなスタイルでした。だからたくさんの雰囲気ある名プレイヤー達が誕生したのです。



さて、2000年の往年の名プレイヤーDallas West VS 9ボーラーとしても超一流のEfren Reyesの試合を観てみましょう。

これは14-1のブレイクボールへの対応、作り方がとても上手。おそらくベスト!!
先角でボールを触るファールがマイナス15点とは知らなかったし、もう一度立て直しから、というのは… あ〜、そうだったね、思い出した。
ゲームはダラスの1stショットの飛ばしからエフレンが142まで走る。
ワンサイドで美しい。そこから色々すったもんだありで、でも目を離せない、スピーディーだ。
エフレンは割り過ぎ、当て過ぎとは思うけど、全盛期(46歳)だから何でもやる。
Willieならばおそらくこんなに当てないよな、とは思ったし、全盛期のWillieと試合をしたら一体どうだったかな…と夢想してみたりする。
2度見をしたら、Efrenは毎ラック4、5回割りにいってるネ。だから時々タフショットが出る。
Willieは割りに行かない。ブレイクで割ったらあとは当てるだけだ。

この「割る」というのと「当てる」という感覚の差は自分の中では大変大きい。
割るのは難しい。当てるのは簡単である、力も要らない。
これが自分の目指す14-1で、50年撞いていてもまだまだである。
Willieは526だから、まぁ普通は100だろうネ。200とは言わない、7ラックだよ。


14-1と言うゲームはスタイルとスタイルのぶつかり合い、強烈な自己主張でもある。
個性の塊同士のぶつかり合いだから面白いし、球撞きはある意味で自分の好みを探し求める旅のようでもある。男女の差も年齢差も何もなくて、ずっと愉しめる最高の趣味だと思っています。

Willieの全盛期のゲームはテープも何も残っていなくて、ハイランの世界記録として認められた526個というのも300名程いた観客によって記録として残されています。

1990年代初頭に彼のサイン会で前から3,4番目に並び、サインをもらう機会がありました。その時に彼に手取り足取り教わったことは私の一生の宝物です。
以前もどこかに書いたと思いますが、そのきっかけになったのは彼の問いからでした。
私の番がくると、私の顔をじっと見つめて「日本人かい?」と。「そうだよ」と答えると、「それじゃあ20ドルくれ。」と。
からかわれたわけだね。
それで私が思い切って「527個目の球はどんな球だったの?」と聞いてから、私への10分程のレッスンが始まったんだ。今思い出しても最高に幸せな時間だったと感じる。

ここでは彼のゲームは観られないが、同じスタイルとして私が認め、尊敬しているRay MartinのYoutubeの映像を是非ご覧いただきたい。



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5月28日の練習会。
準備はすべて整ったと思う。
あとは自分の球を撞くだけである。

2000年のUS Open 14-1でのEfrenの球を見て、所詮世界はこのレベルだと思った次第。
自分の球はもう少し年を取ったゆっくりの球である。Westもそうだった。
結局はスタイルのぶつかり合い、かみ合いであるよね。
だから他人には影響されずに自分の球を撞くことが肝心だ。
スコア表とゲームカードも持ったし、タップも届いた。

今回少し驚いたことがある。
Sさんの撞楽のシャフトのタップは積層7枚の茶であるが、これがいい。
そうして使っているうちにふと、Efrenのタップはもしかして積層なのかしら…?と思い始めた。
音が高くて意外にパワーがないようだ。硬い豚かもしれない。
彼のプレイを見ていると1ラックで何度も壊しにいかなければならない。
上手だからなんでもないように見えるし、とても自然に見えるけど、
本来はああいうゲームではないのだ。
もっと見事なもので、ゲーム時間も短いのだ。


さてさて、自分はこの歳になって少しゲームを理解し始めているようだ。
そんなことを考えているとスリーでも自分の球が撞けそうであるね。
7月2日の練習会の後はスリーかな。


あれから練習してきて、5月28日よりさらに様々な点で理解が深まった。
だが、現在の自分の調子はすこぶる悪い。
撞きたい球のスタイルと合致するタップが見つからないのだ。
硬くて速いのは音も良くてよく入るけど、球がダメでポジションもダメ。
プロフェッショナルはとてもよく入るけど、球もち悪くてキレがない。
かといって厳(新しいタップのサンプル)は…入りが悪い…。
あっちがたてればこっちはダメ…の状態だ。
まぁ、そのうち決まるだろう…。



あ、そうそう、Ray Martinの ”Cool Cat” の意味が最近ようやく理解できた。
なぜこのニックネームなのか、私の中では何十年もずっと疑問だったの。
彼はじっとゲーム時間中、いるのかいないのか分からないほど静かである。
しかし、いざ自分の出番になるとしなやかな猫のようにサッと、スラスラとパズルを解いて撞ききってしまう。速い。
14-1ゲームでは皆「あーでもない、こうでもない…、あぁこっちかな…。」てなもんで、いろいろ時間がかかる。美しくない時間でもある。
特に9ボールの得意なプレイヤーはみんな遅い。
手球があちこち動くから仕方のないところであるが、これがRayのように牛皮の単層のタップを使っていると、手球の転がりがまるで違う。スムースである。
ブレイクショットも大きくバカン、とは絶対にしない。
ラックを壊すイメージではなくて、ラックに当てるという感じ。
途中のクラスターも当てる、触れるという感じなのだ。
殺し球が多くて逆ヒネリもよく使う。
9ボーラ―はまず順ヒネリであるからよく転がる。
しかし14-1は逆ヒネリが多い。


7月2日の練習会では自分はどんな風にいこうか…。
と言ってはみても、自分は犬タイプなのでね。
興味なさそうにじっとしているのは…まぁできないと思う。

あっと…もうひとつ…。
Ray Martinは14-1の名手だけど、“Cool Cat”の他にもう一つ有名なことがある。
彼はGeorge BalabushkaやGus Szambotiを使ったのだけど、全部ナイロングリップ!!リネングリップのキューなどは彼は絶対使わない。
今ビリヤードの博物館なるものをラスベガスに作る話が出ていることをご存知でしょうか?きっと完成すればRayのキューも陳列されるだろうけど、どれもナイロン!!
楽しみだね♪