【 シャフトを育てる 】
掲載日 2018-08-03
うちのキューは木工品です。
木工品のキューが大好きな自分だから話せることがあると思います。
撞き味や打感を考える時に避けては通れないシャフトについての考え方です。
シャフトは、素材を丁寧に削って最後は軽くサンディングしてお客様にお出ししています。
その後はお客様ご自身のケアなのですからあまり難しいことを言うつもりはありません。
今日はこの後のシャフト材の変化についてお知らせしようと思います。
うちのシャフト材はまずずっとぶん投げられて放置されているものばかり。
良い言い方をするとしっかり寝かせてあるもの。“しっかり”というのがキー。
最後に少し表面を削りあげ、軽くサンドして望む形に一致させて出荷、今流行りの伊達みきおだネ、同郷のサンドイッチマン!
良い材はここからが簡単なのよ、育ててほしいのです。
シャフトは消耗品という人はおしなべて毎日撞ける人が多いと思いますが、そういう人は今日はここでバイバイ!!です。
毎日撞ける人には使って貰えば勝手にシャフトは育つから関係ないのです。
シャフトは育ててほしいなと思っています。
ここからは週一プレイヤー、月一プレイヤーへの言葉です。
“育てる”ということは、湿気から遠ざけてよく乾拭きすること。
湿気から遠ざける、とは保管はキューケースでもいいし、段ボールの箱でもOK!!
“シャフトを育てる”とは、木材が削れない程の番手の細かいサンドペーパー(#2500以上)でただひたすらこするのが良いですね。
毎日球を撞けない人はきっと多いと思います。でも愛棒はすぐそばに置いておけるでしょ。
毎日数分間こするわけです。ニスのあるところ(10?〜12cm?)はしなくて良いし、しても無駄。すぐその下の太いところはできれば週に1度ぐらいかな、軽くてOK。
大切なのは、先角の方は時々というか、できたらここは毎日でも良いのでこすってほしいです。ペーパーがないのなら、綿の布でもOKです、よく乾いたもので丁寧にこすってほしい。軽く熱を持つぐらいがベストです。
この部分が購入した時とそれから2、3ヶ月後では一番違う部分。撞いている人と使ってない人の差が出るところでもあります。
キューがしまるこの期間はプレイの頻度が少ない人だと長くかかるけど、こうやって育てれば思いのほか早くしまってくれて気持ちよく撞けること間違いなしです。
では、シャフトを育てると何が違うかと言うと、まず弾力性だネ。シンのないブワブワというか、“若い”感じはしないです。
もう一つは曲がりにくくなります、間違いない。
毎日プレイする人は手の脂や顔を触った時の脂などがシャフトに少しずつ塗られていくし手の皮膚やグローブで表面をこすられるので、素材の表面がミクロの世界でいうと詰まっていくのです。それで光沢も出てくるわけですね。
これが週一プレイヤーのキューだとなかなか出来ないのです。
だから自分で育てる必要があります。
いつまで?できればずっと続けていただきたいですね。
そうすると若いシャフトと育ったシャフトの撞き味が全く違うことが理解できます。
硬く仕上げて育てたいという人は、たまにワックスなどを軽くつけることも良いと思います。
その代わり、滑らなくなるのでプレイに手袋は必須になりますね。
世の中便利になって貼り合わせやらカーボンやら、、、そういう手のかからないものが良いものであるという流れですよね。何もそれを否定するつもりはないです。ただ、自分はパワー一辺倒のショットは飽きてしまうし味気ないと思うタイプなので、
この辺りをおわかりいただける人が増えると木工品を作っている私としても嬉しいです。
自分は木工品を作っています。
木工品には繊細なショットの違いを表現できる優れた特性があると固く信じています。
パワーのあるワンパターンの単純なショットはポケットビリヤードやスリークッションゲームの本来の面白さをなくすのではないでしょうか、飽きますよネ。
だから今日はこんなことを書いてみました。
“シャフトを育てる”ということは毎日球を撞いている人達には思いもよらない考え方だと思います。
でも平均的なプレイヤーや上手になりたいと考えている方には絶対に知っていただきたい大切な事だと思っています。
バットもシャフトも大切にしてくださいね。
よろしくお願いします。