【 テストドライバー 】
掲載日 2023-01-23
今ウチは少し微妙なところだな、と感じています。
私は球撞きが相変わらず大好きですが、70歳近くて目も腕も衰えるばかり…。
頼りの息子達はよく球を撞くようになりましたが、ま〜だそれ程の腕前ではないです、球撞きはなかなか上達しないものですからね。
こんなチーム編成なので、何か製品で迷うことがあるとついつい愛知のE君にキューやシャフト、タップを送って試して貰っています。
まぁいわゆるテストドライバーですね。
私はE君には随分とたくさんのことを教えてもらっています。
やはり現役だから感性が豊かで表現もおもしろく、その上よく色々な事、他メーカーさんのこともご存知、驚くばかりです。
私が製品Aと製品BをE君に送るとします。
そしてこの2つでどちらが良いかを聞くの。
答えはきちんと出てきますし、理由も概ね当たっていて、ナルホド、です。
GP Breakerの時もそうでしたし、新しいシャフトテーパーやタップ開発でもたくさん助言をもらいました。
ものづくりではE君のような“違いの分かる方”に見て頂き、意見をもらうということはとても大切なことであると思っています。
私とE君の出会いは2017年、息子達のラインで作った9Heartsの性能をとても高く評価してくれて即買いしてくれたのが始まりでした。
9HeartsのベースのコンセプトはChinese8用のキューを日本のポケットビリヤード向けに改良したキュー。
『入れに強くて撞点を中心に寄せてもスピンが入りやすい、押し引きに優れた身体に響かない木工品』というものでした。
この9Heartsの基本のコンセプトは、実は仙台のお店、Power Houseのオーナーからの一言がきっかけでした。
「もっと単純に誰でも押したり引いたりできるキューはないですかね?」
そんな突然雲をつかむようなことを言われて、内心(無茶言うなよ、だからみんな練習するわけだろう?)と思いました。
でもこんな会話が頭の片隅にずっと引っかかって行って、そして中国に行った時に撞き方や道具を実際に見て来て、パワーロスの少ない次世代型のキュー作りを目指すことなったのです。
こうして工夫して作り上げた作品を一発で理解してくれたのがE君だったの。
道具の良し悪しを自分できちんと判断できるということにおいて彼はプレーヤーとして大変優れています。
このような流れがあり、2017年には日本のマーケットに合わせて色々工夫を凝らして最初の9Heartsが完成しました。
その作品群はまだまだChinese8専用のキューというのが見えていませんでしたが、ポケット用の日本向けとして良いスタートでした。
今?その当時はおぼろげだったChinese8専用のキューのフォルムがはっきりと見えます!!
ここでもE君の意見はよく聞いていて、肝心なところは丁寧に教えてくれています。
彼は中国には行きませんがYoutubeではずっとChinese8を観戦しています。
そしてPottsやMillingが大活躍した2013、14、15年のゲームをよく知っているのです。
その頃の私はまだキュー作りを勉強中だったので、2016年に上海OPENに行くまで中国事情には疎かったですね。
マーケットの方向性、キューの進化するべき部分、その判断基準となるべき事象etc… 本当に無知でした。
最近おかげさまで中国からの注文が増えています。
我々の作るキューの方向性は合っているなと肌で感じられるようになりました。
2023年は新しい挑戦の始まりです。
構造を変更し、明確な打感を実現します。
それと同時に、デザインもより洗練された美しいものを追求し、皆さんに楽しんでいただけるものづくりを続けていきたいと思っています。
E君には心から感謝しています。