【 修理のご依頼 】
掲載日 2020-09-15
私は今、息子達と“物作り”をしている。
私は以前は“物売り”をしていたことはご存知の方も多いだろう。
今の私の頭の中は、完全に『作り手』である。
“売る”のと“作る”のは、頭の中の使う部分が全く別なのである。
“物作り”をしていると、周囲の方に助けていただくことがよくある。
助けてくれる方が多いのはとてもありがたく、心より感謝している。
お付き合いが長いと、たま〜に、
「お願いがあるのですが、時間のある時にで…。」
と修理を依頼されることがある。
頼む方はよくご存じで、「今、忙しくてムリ。」とは言えない立場から言ってくる。
お話を聞き始めると、もう依頼を受けたも同然だネ。
誰が触ったのか分からないキューが来ちゃったりする。
ロゴが半分消えてる、なんてのはまだなんとかなる。
径が削られてたり、継ぎ足してあったり、完全に元形がなくなっているなんてことも…。
まずは詳しくお話を伺って、ご希望をイメージし、
仕上がりを想定して、それから修理代を決める。
さてここからがスタートだが、
キュー作りはとにかくサンプルを作るのが大切だ。
ぶっつけでは絶対にできない、これは知っておいてほしい。
インレイだろうが磨きだろうが深みだろうが、何でもまずはサンプルだ。
他のメーカーのインサートもテーパーも、全部サンプルを作る。
そして失敗することも考慮して、本番は必ず余分に作るのだ。
時間的コスト、労力、手間、こんなことを考えると、
おそらく自分のキューを作るよりも10倍ほどはかかる感じだネ。
良いことなんてないじゃないかと思われそうだが、実はメリットもきちんとある。
まず、良い気分転換になる、そして経験となり、勉強にもなる。
見たこともない、作ったこともないものは、いわばチャレンジだね。
これまでにスペアシャフト製作だと、RB、Gus、Gina、Tad、BB、Scruggs、SW、Kersen…アメリカンカスタムはもうほとんど作っているな。
Mottey、JW、Schrager、Cogno、McW、何でもOK!もちろんどれもテーパーは違う。
2019年を思い返してみると、まずシャフトのオーダーが大変に多かった。
今はコロナの影響もあって少し下火だけれど、
逆に細かいこだわりのあるシャフトのオーダーが増えた。
それと同時に他のリペアも増えた。
シャフトはマッチングリングにして…、塗り直しして革も新しく巻いて…。
全てカスタムキューなのであるが、ブランドが本当に様々である。
我々はそのブランドの味を壊さないように仕上げなくてはならない。
どこかで誰かがすでに触って壊されてしまったものも、できるだけ補修している。
壊してしまったもの、細く削ってしまったものは直せない。
でも消えてしまいそうなロゴなどは元の形に入れてあげたいな…
言うのは簡単、でもやるのは大変である。
先日LambrosのMLの縦に入ったロゴを綺麗に入れ直すという作業だけに丸3日もかかった。
ウチの下の息子が手間取っているので、
「いつまで何やってんだ。」とつい口を出してしまった。
「いや、黄色に変色した塗りを落とさなくちゃならないんだけど、落とすとロゴが消えるので……落とす前にこれを…。」と息子が言う。
見ると綺麗にロゴの型をとって、全部プログラムして作り直している。
「おいおい、そこまで料金貰ってないぞ〜!?」
「でもせっかくやるんならちゃんと綺麗にしてあげたいですよね。」
(チッ、コノヤロー、優しい奴だなぁT_T)
そういえばウチの師匠のErnieも言ってたっけ。
「料金に関係なく、ダメなところは全部直してやる。」
息子達はそんなところまでErnieに教わったのかも?(ホントかよ??)