【 オーダーキュー 】
掲載日 2022-09-20
先日、と言ってももう1か月程前のことです。
アメリカからキューをオーダーしたいというメールが届きました。
ちょうど4年前に私に黒檀のキューを作ってくれ、と飛び込みがあり、簡単にデザインの打ち合わせをしてキューを作ったその本人からでした。
4年前の注文内容は私にしてはとても意外なもので、デザインは二の次、黒檀フロントでサウンドが良い、打感の良いキューが欲しい、ただこれだけでした。
その時の私がまずしたことは…
削り上げた丸棒の黒檀を20本程並べ、1本1本たたいてみて音を確かめました。そしてその中からコレとコレ、と選び、そのうちの1本でキューを作ったのです。
別に何も特別なことはしていません…ただそれだけです。
黒檀はとてもおもしろい素材です。
外見は多少の杢目が浮かんだりしますが、まぁ見た目はほとんど一緒。でも打音は全然違います。
話は戻りますが、このお方は実は黒檀のソリッド感が大好きらしい… そうして10数本の立派なコレクションをお持ちで、綺麗にキューが並んだ写真を見せてくれました。
今回のオーダーは“人生最後のキュー”として私に注文したい。黒檀フォアアームの白系木材ハギ、飾りのリングは簡単な物で良い、そこにサインを入れてくれ。
注文したい理由は、4年前に作ってもらったキューが自分のコレクションの中で一番良い打音・打感である、だからそれと同じ物でシンプルなキューを作って欲しい… そういうことが書かれてありました。
身にあまる大変光栄なお言葉です。
酸いも甘いも知り尽くしたお客様からのご指名、恐縮極まりますネ。
心を込めて、素材選びからトータルデザイン、シャフトテーパー、バランスなどを心に描いて製作させて頂こうと思っています。
気が引き締まります、頑張ります。