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【 カスタムキュー考3 】

掲載日 2017-02-14

さて、今日は接着について書いてみる。
接着とはパーツとパーツをくっつける事である。
接着剤の種類としては色々あるネ。
キューは木工品だから、まず木工用ボンドが頭に浮かぶ人は多いと思う。木と木の接着には一番強い、強力だ。
それから頭に浮かぶのは瞬間接着剤だろう。すぐにくっつく物(速乾)から、少し時間のかかる物、数秒から5分位かかる物まで時間的に違うし、液体のようにスーッと流れるものからゼリー状のような物もある。チューブに入った1種で使えるものが多い。用途別でみてみると本当に数多くて選ぶのも大変だが、今のキュー作りは様々な素材を扱う為これなしでは作ることができない。勉強が必要なのだ。
もうひとつ忘れてはならないのがエポキシ系の接着剤。2液性で、混ぜると乾燥が始まるタイプで乾燥しながら硬化する訳である。
接着はキュー作りの中ではよく軽く見られるし、たぶん国内でリペアする人達もほとんど気にしていないと思われる。
でもうちでは全部で10種程を用途別に使い分けているよ。


ジョージバラブシュカがキュー作りをしたのは1960〜75年であるが、彼はPool Hallに行くと他人の作ったキューと自分のキューはすぐに判別がついたそうだ。
理由は球を撞いた時のビビリ音。ナニ?!!現代は接着剤は進化しているのでそんなことはないって??ジョーダンじゃない。スリーやポケットのキューのトラブルはジョージの時代よりも今の方がずっと多いのではないかと思う。私はよく耳にするヨ。
まずは先角の割れ、先述したビビリ音や異音(カラカラetc)、そしてバットの割れ、そうそうジョイントの折れも聞いたことがある。リングやカラーの浮きなどもある。私の中では、これらのトラブルのほとんどが接着不良が原因だと思う。
ジョージの時代では工作機械も良くなくて、パーツパーツに段差があるのも珍しくなかった。工作上手と下手がキューを通してすぐにわかったし、情報も少なく接着剤も良くなかった。キューの良し悪しはすぐにわかったのだ。
でも現代のキューは一見すると上手になっていてすぐにはトラブルは予見できない。表面が綺麗なだけに買う側にとっては問題は深刻なのである。手に負えないのは、キューメーカー(自称)がトラブルの原因がわからない。原因がわからないと対策もできない。今キューを作っている人達はパーツをパーツサプライヤーから購入して、パーツとパーツを接着して販売するのが流行っているらしい。PPAPスタイルである。
自分が仕入れたパーツがどう作られたのかまでは知らないし、そして自分が接着する時には何でも簡単に接着剤を選ぶ。だからトラブルが多くなるのではないだろうか。
A社のキューが数年でトラブルとか、Sキューがキュー鳴りするとか、先角が割れる、Hキューがバットが折れた、なんていうのはすぐに耳に入ってくる。Kキューもだネ。Mは曲がる、だって。
ウチのキュー?ウチのキューも同じだよ。皆失敗して学んで上手になる。
アリゾナのDaveのところで使っていた接着剤で「システムスリー」というのがあった。大変高価でなかなか見つからないが日本で見つけたから喜んで買った。
ところがこのエポキシは気温が20℃以上であれば大変な優れ物。それより低温だとくっつかない!!アリゾナでは年中使えたが、新潟では10月末から5月位までは使えない!!バットを何本か冬に仕込んでそのことに気付いたヨ。全部ブレイクジャンプキューになっちゃった(泣)、大失敗!!


さっとここまで書いて終わりにしたいけど、なんと中身のない文章だろうか…読み手を甘く見ている訳ではないが、どこまで書いて良いのかが難しいからネ。

ここで木工用ボンドの難しいところ、注意点。
まず、木と木の接着に向いている。それ以外はダメ!!“木工用”なんだから当たり前だよね。
でもこれが理解できていない人達があまりにも多い!!
木工用ボンドの乾燥期間は、おそらく3ヵ月から6ヵ月は見ること。
これを聞いて「エッ!!」と思う人は多い。ほとんどのキューメーカーはそう言うと思う、多分。
これには科学的な理由があって、べニア材の貼り合わせなどは乾燥には1ヵ月ほどを見る。
問題はここからである。
木工用ボンドは水をベースにした製品。だから木材がその水分を吸ってしまう。そしてその吸湿が木材の反り、曲がりを生むリスクが高いのだ。
これは超有名なブランドで曲がりが多いキューを見ればわかる。(名前までは言えない。)
ハンドルとフロントやスリーブの接着に使うのならば1年は最低限待ちたいものである。というか、私的にはこの接着剤はキューに使うべきではないと思っている。現に私は使っていない。ア、言っちゃった!!
国内のリペア業者はバンバン使っているが…だから私は自分の持っているキューは国内ではリペアしない。
もうひとつ使えない理由は、水性塗料のべニアだと塗料が滲んでぶちてしまう。使用できるべニア材も限定されるのだ。ぶちたべニアフロント材のキューを見たことのある人はきっと多いと思う。
ウ〜ン、ここまでオープンにして良いのだろうか…???

エポキシ系の注意点。
気軽にエポキシを扱うと大変なことになる。よく注意書きを読んでから扱うこと。素手で扱うと身体内に浸透してしまうものがあるので心して使う。これは種類が多くて気温などの条件などにも注意。
接着をする時はできるだけ広い所で行うか、換気を忘れないこと。

では次にジョイントピンの接着について。
これは作り手のジョイントピンについての考え方で決まる。
接着剤は何を使用しても良いのだ、ウソではない。
ちなみにウチではガチガチになって壊さないとピンが取れないというような物は使っていない。ピンを交換する場合がほんの少しでもあるかもしれない…いずれピンが曲がって抜き替えが必要な時があるかもしれない。だからウチでは少しだけ緩い接着剤を使っている。
ウ〜ム…、この辺でやめようか…あと15分で日が変わる…よしもう1つ!!
インレイパーツについての接着剤はGinaやBlack Boarと私は違う。彼らはインレイの上にインレイを重ねるが、時間がもったいないし、次々とやりたいので瞬間を使う、早いよ。
お花のモチーフの真ん中にはBlack Mother of Pearlを入れるが、次々とインレイを入れてはすぐに削ってまたハンマーでインレイを重ねていく、早いし簡単、あっという間である。同じ作業の連続だ。
私?私は2液式のエポキシを使う。瞬間は無理!!
ウチのデザインはインレイも極小だし、1つずつ形も違うし、追いかけるようにデザインされているものが多い。1つ1つが真剣勝負で神経を使うので瞬間ではとてもできない。

今、23時52分。
最後にもう一度まとめを書く。
巷間のキューのトラブルのほとんどは接着の不良が原因である。間違いない。
接着剤は乾くと体積が減少する。寝かせの足りない木材は痩せる。削りのラフなもの、下手なものは痩せ方がより一層だ。だから接着面に空洞ができやすい。空洞ができると割れやすくなる。硬い接着剤も衝撃には弱くて割れやすい。ただこれだけである。

サイナラ、サイナラ、サイナラ…